「行政書士法の一部を改正する法律」の施行について

日本行政書士会連合会
会 長 宮 本 重 則

 令和8年の新春を迎え、謹んで新年の御挨拶を申し上げます。

 全国の行政書士会及び会員の皆様におかれましては、平素より本会の事業推進に対して、格別の御高配を賜り誠にありがとうございます。また、日頃から地域住民の皆様並びに自治体の期待に応え、行政書士制度の発展のために御尽力いただいておりますことに対し、重ねて御礼申し上げます。

 さて、第217回通常国会において成立した「行政書士法の一部を改正する法律」(令和7年法律第65号。以下「改正法」という。)が、本日から施行されました。
奇しくも、本年は「行政書士法」(昭和26年法律第4号。以下「法」という。)が昭和26年2月22日に公布されて75周年という記念すべき節目の年に、行政書士制度が大きく進展する改正法が施行されましたことは、誠に喜ばしい限りです。

 改正法の概要は、近時の行政書士制度を取り巻く状況の変化を踏まえ、①行政書士の使命と職責が明確となり、士業法で初めて「デジタル社会への対応」の努力義務が規定されたこと、②特定行政書士の業務範囲について、行政書士が「作成することができる」官公署に提出する書類に係る許認可等に関するものに拡大されたこと、③業務の制限規定に「他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て」の文言が加わり、その趣旨が明確になったこと、④両罰規定が整備され、業務の制限規定に違反した場合に、行為者のほか、その法人に対しても罰則が適用されることとなったこと等です。

 本通常国会に提出された法律案は、内閣提出(閣法)が59件、議員提出(議法)が77件の合計136件で、このうち成立した法律は、閣法が58件(成立率:98.3%)、議法が17件(成立率:22.1%)の合計75件(成立率:55.1%)でした。5月29日に衆議院総務委員長から提出(議法)された「行政書士法の一部を改正する法律案」(以下「法案」という。)は、同日開催された総務委員会において可決され、翌30日の衆議院本会議において、起立多数により可決されました。そして、同日参議院に送付され、6月5日に開催された総務委員会において可決され、翌6日の参議院本会議において全会一致により可決・成立し、同月13日に法律第65号として公布されました。国会において、法案が全会一致で可決されるということは、国民の幅広い支持と合意に基づき、その妥当性や正当性が高く評価され、今後の国民生活や社会に与える影響が大きいことを示しています。議法の成立率の低さから見ても、本改正法がいかに国民のニーズに応えたものであるかは明白であり、本改正法が国民生活や社会にとって極めて重要な法律であるということを物語っています。

 私たち行政書士は、昨年12月1日時点で全国に約5万4千人で、1,741市区町村のうち1,539市区町村の全国津々浦々に遍在しており(市区町村カバー率:88.4%、人口カバー率:99.5%)、このうち特定行政書士は、約6千人で、869市区町村(市区町村カバー率:49.9%、人口カバー率:90.0%)において、国民と行政との架け橋として、国民の生活向上と社会の繁栄進歩に貢献してまいりました。これからは、法第1条の行政書士の使命及び第1条の2の職責を全うし、国民からの負託に応えていかなくてはなりません。

 そのためには、本会及び行政書士会としては、組織力の一層の強化を図るとともに、会員への研修等を通じてその能力の維持・向上を担保しつつ、会員の業務の範囲を拡大することや業務の取扱件数を増やすことなど、法第18条第2項及び第15条第2項に定められたそれぞれの設立目的を達成できるよう、これまで以上に尽力していく必要があります。

 また、会員の皆様におかれましては、改正法の施行を契機として、改めて行政書士としての使命と職責を深く認識していただき、法はもとより各種法令、本会及び行政書士会の会則、行政書士職務基本規則等を遵守すること、更に業務遂行のための不断の努力を行い、国民の権利利益の実現に資することにより、国民の信頼と期待に応えていただきたいと存じます。

 本会としては、今後とも国民からの負託に応えられるよう行政書士制度の更なる発展のために全力を尽くしてまいりますので、引き続き関係各位のご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

 最後に、本年が、災害の少ない穏やかな年となりますとともに、会員の皆様にとって実り多く飛躍の一年となりますことを心より祈念申し上げ、年頭の御挨拶といたします。