新たな外国人材受入れ政策の一環として、法務省が本年4月1日より施行することとしている「出入国管理及び難民認定法施行規則の一部改正案」に関し、以下の2点について反対する。

1 支援業務を委託された登録支援機関の職員を、在留資格「特定技能1号」に係る在留資格認定証明書交付申請の代理人として認めること。

2 登録支援機関の職員を、在留資格「特定技能」に係る在留資格認定証明書交付申請、在留資格変更許可申請及び在留期間更新許可申請について、申請人に代わって申請書等の提出等を行う者(いわゆる申請取次者)として認めること。

(理由)
 出入国管理及び難民認定法別表第1の表に掲げる在留資格については、申請人本人と契約を結んだ機関の職員又は申請人本人が所属する機関の職員が在留資格認定証明書交付申請の代理人として規定されており、これについては当該外国人(申請人本人)を招聘する機関そのものであることから一定の理解が出来る。また、在留資格「技能実習」については、監理団体の職員が代理人として規定されているが、これはその実習が当該団体の責任及び監理の下に行われる場合(団体監理型の技能実習)に限定されている。

 しかしながら、登録支援機関については、改正案のように単に支援という事実行為についての委託・依頼を受けたに過ぎず、1号特定技能外国人の受入れに係る責任を負わず監理も行わない者を、法的責任をともなう代理人として規定することは適当でなく、またその必要性もない。

 行政書士又は行政書士法人でない者が他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類を作成する行為は、行政書士法に違反するものである。
単に支援についての委託を受けたに過ぎず、かつ行政書士・弁護士でない者が、官公署たる入国管理局に対する申請を代理できることや申請取次ぎができることを出入国管理及び難民認定法施行規則で定め容認することは、官公署に提出する書類を作成するという行政書士法違反を誘発する恐れが非常に大きく、行政書士法の趣旨に鑑みて適切ではない。

 更に、出入国管理及び難民認定法施行規則6条の2第4項及び59条の6第2項に規定する「出頭を要しない場合(いわゆる申請取次制度)」において、依頼により申請取次ぎが出来るものは、①受入れ機関等の職員 又は公益法人の職員で、地方入国管理局長が適当と認めるもの、②弁護士又は行政書士で所属する弁護士会又は行政書士会を経由してその所在地を管轄する地方入国管理局長に届け出たものに限られている。単に支援の依頼を受けたに過ぎず、1号特定技能外国人の受入れに係る責任を負わず監理も行わない登録支援機関の職員に申請取次ぎを行うことを認めることは、相当性がなく適切ではない。

 以上の理由により、「出入国管理及び難民認定法施行規則又は出入国管理及び難民認定法施行規則第19条第3項第1号の規定に基づき法務大臣が定める機関を定める件の改正あるいは新設する契約、受入れ機関、支援計画等の基準に関する省令」の規定等によって、登録支援機関の職員に、申請の代理や申請取次ぎを認めることを強く反対する。

平成31年3月6日
日本行政書士会連合会
会長  遠田  和夫